Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2020-8835)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
03/30/2020にLinux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2020-8835)が公開されています。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2020-10942) Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-1749) Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-8647, CVE-2020-8648, CVE-2020-8649) Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-8428) Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-7053) Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18282) Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-19332)関連リンク
Pwn2Own 2020 – Day One Results
https://lore.kernel.org/bpf/20200330160324.15259-1-daniel@iogearbox.net/T/
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2020-8835 | 調査中 | https://www.openwall.com/lists/oss-security/2020/03/30/3 |
RedHat: 7.0 Important |
RedHat: CVSS:3.1/AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-8835
https://lore.kernel.org/bpf/20200330160324.15259-1-daniel@iogearbox.net/T/
- システム情報の漏洩又は特権昇格の問題
- Linux Kernelのbpf検証に置いて、レジスタ境界の計算がきちんと行われていない可能性が見つかりました。ローカルの攻撃者はこれを利用して重要な情報の漏洩(Kernel Memory)を行ったり、特権昇格を行える可能性があります。
- 緩和策:Ubuntuでは下記の様に設定することで緩和が可能です。
Fedoraでは、下記の様にbpf(2)syscallセットへの非特権アクセスを無効にすることで緩和できます$ sudo sysctl kernel.unprivileged_bpf_disabled=1 $ echo kernel.unprivileged_bpf_disabled=1 | \ sudo tee /etc/sysctl.d/90-CVE-2020-8835.conf
# sysctl -w kernel.unprivileged_bpf_disabled=1
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2020/CVE-2020-8835.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
Pwn2Own 2020 – Day One Results
https://lore.kernel.org/bpf/20200330160324.15259-1-daniel@iogearbox.net/T/
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
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