OpenSSLの脆弱性情報(Low: CVE-2019-1547, CVE-2019-1549, CVE-2019-1563)

こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。

09/10/2019にOpenSSLの脆弱性情報(Low: CVE-2019-1547, CVE-2019-1549, CVE-2019-1563)が公開されています。こちらはPriorityはLowで影響は少なく修正版も出ませんが、念の為、この脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。




Priority

CVE番号影響するバージョンPriorityCVSS Score / CVSS Vector
CVE-2019-15471.1.1d/1.1.0l/1.0.2tより前のバージョン

Vendor: Low

Red Hat: Moderate

NIST: 4.7 MEDIUM: AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:N

Red Hat: 5.5 Moderate: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:N

CVE-2019-15491.1.1dより前のバージョンの1.1.1系

Vendor: Low

Red Hat: Low

NIST: 5.3 MEDIUM: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N

CVE-2019-15631.1.1d/1.1.0l/1.0.2tより前のバージョン

Vendor: Low

Red Hat: Low

NIST: 3.7 Low: AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N

修正方法

各ディストリビューションの情報を確認してください。

CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)

  • http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-1547
    • ECDSAのリモートタイミング攻撃の可能性
    • 重要度 – Low
    • 対象 – OpenSSL 1.1.1/1.1.0/1.0.2
    • OpenSSLのECグループは通常co-factorを持っており、これがコードパスのサイドチャネル攻撃に対抗するものとして使われている。しかしながら、いくつかのケースでは、明示的なパラメータを使用してグループを形成することが出来ます。その様な場合には、co-factorが存在しない可能性が有り、そのような曲線が使用される場合にはサイドチャネル攻撃への耐性が無くなる可能性が有ります。念の為ですが、通常明示的なパラメーターは使用されないため、libsslは脆弱ではありません。
  • http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-1549
    • Fork保護がデフォルトで不使用
    • 重要度 – Low
    • 対象 – OpenSSL 1.1.1系
    • OpenSSL 1.1.1では乱数生成装置(RNG)が書き直されました。これは、親プロセスと子プロセスが同じRNG状態を共有しないようにするために、fork()システムコールが発生した場合の保護を含めることを目的としていました。しかしこの保護はデフォルトでは使用されていませんでした。
  • http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-1563
    • PKCS7_dataDecodeとCMS_decrypt_set1_pkeyへのパディングオラクル攻撃
    • 重要度 – Low
    • 対象 – OpenSSL 1.1.1/1.1.0/1.0.2
    • 攻撃者が復号化の成功または失敗の自動通知を受信する状況では、復号化するメッセージを大量に送信した後、攻撃者はCMS / PKCS7で転送された暗号化キーを回復するか、暗号化されたRSA暗号化されたメッセージを復号化できます

主なディストリビューションの対応方法

詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください


対処方法

今回は修正版が出ないため、対処は各ディストリビューションの情報に従ってください。

なお、OpenSSL 1.0.1シリーズ以前のバージョンは本家ではサポート終了となっておりますので詳しい情報は各ディストリビューショ
ンの提供元にご確認下さい。


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今後、このイベントはオープンにコミュニティーとして運用を行う予定です。 ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

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